- 行政法規の効果的な学習方法は?
- どんな教材を使ったらいい?
- 何とか独学で合格できないかな…
- 少しでも楽に勉強を進めたい
このような悩みにお答えします。
行政法規は、試験範囲が広く、五肢打択一で問題文も読みづらく、まともに付き合うと時間がかかる科目です。
本記事では、短答式に合格経験がある僕が「合格までにすべきこと」「教材」「独学法」「便利グッズ」などをご紹介します。
目次
【合格者が解説】不動産鑑定士試験、行政法規の効果的な勉強方法

結論として、行政法規のゴールは以下です。
「過去問のA, Bランクの問題がほぼ解ける」状態にすること。
このレベルに到達するなら、独学を含めてどんな勉強方法でもいいと思ってます。
そのためにすべきことは、2つだけです。
- 内容理解をする
- 過去問を解く
これが本質であり、面倒なこれらの作業を手伝ってくれるのが予備校だと思っています。
なお、内容理解のことを「インプット」、過去問を解くことを「アウトプット」と呼んでいきます。
ステップ1:行政法規の内容理解

行政法規の内容理解の方法としては、大きく次の方法があります。
- TACの不動産鑑定士講座を受ける
- LECの不動産鑑定士講座を受ける
- 山口先生の行政法規講義を受ける
上記の通り、選べる選択肢はたった3つです。
他にも「参考書を読み込む」という方法も考えられますが、特に初学者の方は法律のイメージが湧きづらいと思いましたので除外しました。
「参考書を読み込む方が向いている」という方は、TACから販売されている行政法規のテキストが良いかと思います。
» 不動産鑑定士 不動産に関する行政法規 最短合格テキスト 2021年度
では、それぞれ解説していきます。
TACの不動産鑑定士講座を受ける
一番多いと思われるのが、TACを活用する方法です。(僕も、初学者のころはTACを利用しました)
「論文合格者の占有率がNo. 1」という実績があり、受験生の間でも「迷ったらTAC」のようなイメージがあるのは事実だと思います。
TAC行政法規のカリキュラムは、以下です。
- 基本講義 + ミニテスト 12回
- 基礎答練 2回
- 法改正点講義 1回
- 直前答練 8回
- 全国公開模試 1回
インプット教材は「基本講義」「法改正講義」の二本柱です。
ミニテストや答練など適宜アウトプットの場も与えられるので、知識の定着がしやすいのが特徴。
ミニテストは単純なマル・バツを問うような形式になっており、いきなり五肢択一をやるよりも解きやすい工夫がされています。
とはいえ、自主学習を怠ると本試験で高得点をとるのは難しいです。
講義を聴いた後の「過去問を解く」というステップは必須であって、その補助として答練や全国公開模試があるという位置付けです。
念のため、配布される教材をお確かめください。
LECの不動産鑑定士講座を受ける
予備校を使うのであれば、LECを使うのも一手です。
行政法規のカリキュラムは以下の通り。
- 合格基礎講座 全14回
- 行政法規改正対策講座 全1回
- 短答実践答練 全6回
- 全国公開模擬試験 全1回
講義はLECの方が2回多くなっていますが、答練はTACより少なめの構成です。
僕はTACを受講していましたが、行政法規の答練は受けずに合格しています。
そのため、答練回数が少なかったとしても過去問をちゃんと解けば、あまり問題ではない気がしています。
無料で「基礎講座の第1回」が公開されています。
なお、受講料はLECの方が全体的に安くおさえられている印象です。
山口先生の行政法規講義を受ける
インプット教材に迷ったら、山口先生の行政法規講義がおすすめです。
山口先生はTACに長年在籍されていた方なので、講義のわかりやすさは折り紙付き。
動画講義は無料、レジュメが欲しい場合は有料にて対応していただけます。
僕が2020年度の短答式を受験した際には、【山口先生の動画教材を見る → 過去問を解く】というのを繰り返して合格しました。
ステップ2:過去問を解く

内容を理解したら、過去問を解くだけです。
独学の方は、過去問題集は必ず手に入れておきましょう。
「最新版」なら法改正が反映されているので、本試験での失点を避けられます。
» 行政法規 過去問題集 (上) 2021年度
» 行政法規 過去問題集 (下) 2021年度
なお、僕が意識していた「過去問を解く際の注意点」を示しておきます。
- 難しいCランク問題はやらない
- 完璧に解ける問題もやらない
- 間違えた問題は解説を読んで理解する
- すべての選択肢にマル・バツを判定
やみくもに解くよりも、このポイントを意識して学習すると点数が伸びやすいです。
難しいCランク問題はやらない
賛否両論あると思いますが、Cランク問題はすべて捨てました。
Cランク問題はムズカシイので、他の受験生の正答率が低く、問題を解くのにかなりの時間がかかります。
よくよく問題を読んでみると、予備校の講義で扱っていない内容もあったりで、Cランク問題まで完璧にするのはコスパが悪い気がしています。
逆に、合格できた年はCランク問題を捨てた時でした。
完璧に解ける問題もやらない
何回か過去問をやっていると「絶対に正解する問題」が出てきます。
これを何度もやるのは、時間のムダです。
次々と問題を解いて行っている感覚は「やっている感」が出ますが、本試験の正答率を上げるという意味では無意味です。
僕もついつい「100%解ける問題」も解いてしまっていましたが、試験直前期にはこの行為のムダさに気づいてやめました。
とにかく「できないことを減らす」ことに重点をあてるのが大切。
間違えた問題は解説を読んで理解する
間違えた問題は、理解できるまで解説をよく読むこと。
不正解だった問題の解説を読むのは、骨が折れる作業です。
せっかく長い時間をかけて一生懸命に問題文を読み、苦労して判定した答えが間違っている…ついつい「解説は後で見返せばいいや…」と思ってしまいがちですが、先延ばししているとすぐに本試験直前になってしまいます。
早めに理解してしまえば、後がラクです。
しっかり復習すれば二度と間違えることもありませんし、問題を読む時間も早くなります。
すべての選択肢にマル・バツを判定

すべての選択肢にマル・バツを判定していくと、本番に強くなります。
バツの選択肢にも「どこが間違いだったのか」を考えることで、本試験でよく問われるひっかけポイントに気がつきやすくなるからです。
過去問に載っている問題は、次の本試験で出題されてもおかしくないものばかり。
少し面倒ではありますが、丁寧に一つづつ選択肢を判定していくのが良いです。
独学合格するためのロードマップ

「もし僕がこれから独学で行政法規の学習を始めるなら?」という前提で、合格するためのロードマップを考えてみました。
山口先生の動画教材を見る
まずは山口先生の行政法規・動画教材を視聴します。
このときのポイントは、一気見しないこと。
一個の法律の講義が終わったら、動画を閉じて過去問をやります。
すべて通してから過去問に取り掛かると、最初の方にやった内容が抜け落ちてしまうからです。
行政法規の過去問題集を解く
- Cランクは解かない
- 完璧に解ける問題もやらない
- 間違えた問題は解説を読んで理解する
- すべての選択肢にマル・バツを判定
大事なことなので再掲になりますが、これを意識して問題を解いていけば得点力は上がっていくと思います。
完全初学者の方はBランクも難しく感じるかもなので、まずはAランクだけでもいいかも。
とにかく、インプットした内容はこまめに過去問でアウトプットすることが大事です。
ラクに勉強を進めるためのグッズ

控えめにいっても行政法規の学習は苦痛です。
そんな中、僕がこれがあると勉強が捗ったといグッズを紹介します。
キンコーズとScanSnap
過去問が重すぎるので、ScanSnapでPDF化しました。
行政法規の学習で何がイヤと言えば、問題集の持ち運びです。
二分冊になっており、かなり分厚い。問題を解いている最中にも、本が閉じてこないように手でおさえるのも一苦労です。
そのままではスキャンできないので、キンコーズに持ち込んで問題集を断裁してもらいました。
iPad ProとApple Pencil

PDF化したデータを、iPad Proに入れて持ち運びました。
» Apple iPad Pro (11インチ, Wi-Fi, 1TB)
こうすると紙の問題集のように閉じてきませんし、持ち運びもラクです。
実際に問題を解くときは、左に問題を、右にGood Note 5というアプリを起動してスキマ時間を見つけては問題を解いていました。
この時、Apple Pencilは必須です。
紙のノートに書き込むように使えますし、手でiPadに文字を書き込むのは現実的ではないからです。手で書こうとすると、多分すごく苦労します。
また、講義の内容や過去問集を解いている最中に、未知の内容が出てきたらノートにまとめました。

写真のような感じで、1つの法律ごとに1ページに要約。
こうすると試験合格に必要な知識が法律ごとに可視化され、法規ごとに覚えるべき知識の量はばらつきに気がつきます。
例えば、「建築基準法は分量が多いなぁ」「農地法って覚えること、これだけなの?」などといった感じ。
なお分量が多い法律は、2枚以上にボリュームが膨れることもありました。
おまけ:僕の勉強法の失敗談

ラクをしようとするあまりに、間違った勉強法をとってしまった黒歴史をご紹介します。
過去問題集の解答ページを暗記しようとした
過去問題集・右ページの条文を丸暗記しようとして、失敗しました。
過去問には条文の文言がかなり引用されていることに気がつき、「不動産鑑定評価基準」ばりに暗記すれば完璧…と思いきや撃沈しました。
この方法では、条文の意味を理解していないので「全然解けない」という事態になります。
ひとことで言うと、「とにかく応用が効かない」という事態になりました。
復習をおろそかにしてしまった
過去問題集を繰り返し解いた回数だけに目がいき、復習を疎かにしてしまいました。
「昨日解けなかった問題が解けるようになること」が受験勉強の本質のはずが、完全にその点を見失っていました。
時間ばかり浪費して、まったく合格まで近づいていけていない時期があったと反省しています。
試験日までのスケジュール調整に失敗
試験日から逆算した学習スケジュールが立てられなかったことがあります。
短答式に落ちたときの話ですが、僕は転職して間もなかったので妙な焦りを感じ、論文対策に時間をかけすぎました。
結果、行政法規の学習時間をあまり確保できずに不合格という結果になってしまいました。
「今のペースで試験日までに間に合う?」という視点から学習ペースを確認すべきでした。
行政法規はやっただけ伸びる科目

今回の要点をまとめると、以下です。
- まずは内容の理解のためのインプット教材を選ぶ(TAC、LEC、山口先生)
- 過去問の最新版を繰り返し解く(上巻、下巻)
- 過去問のCランク問題は無視
- Apple iPad Pro、Apple Pencil、ScanSnap iX500で過去問を軽量化するのが便利
行政法規は、学習の過程ではとてもツライものですが「やればやった分、得点が伸びる」科目だと思います。
論文式と並行して勉強するのは大変ですが、本記事の内容も参考にしつつ普段の学習にお役立てください。