「どの低温調理器を選んだらいいか、迷ってしまう」という方に向けて書きました。
僕はこれまで「AnovaPrecision Cooker」を2年ほど、「BONIQ」「BONIQ Pro」をそれぞれ1週間ほど使ったことがあります。
その経験から、「低温調理器の選び方」「使ったことのある低温調理器」「今買える低温調理器」についてまとめました。
失敗しない低温調理器の選び方

どの低温調理器も、水温を上げて一定に保つという点は同じです。
もし水温のコントロールにトラブルがあれば、基本的にメーカー保証で対応してもらえるでしょう。
そうなると、よい低温調理器の本質とは「高い操作性」ではないかと思っています。
操作性は手にしてみないとわからない点も多いですが、いくつかのポイントをおさえれば失敗を減らすことができると思います。
留め具の種類|クリップ式とネジ式
低温調理器とコンテナをつなぐ留め具には、「クリップ式」と「ねじ式」の2つがあります。
結論として、僕のおすすめは「ねじ式」です。
理由はコンテナにガッチリ固定できて、動かないから。
クリップ式でも力の強いものもありますが、「ねじ式」と比較すると安定感はどうしても劣ります。
一方で、「ねじ式だと、掃除の時に付け外しが面倒なんじゃ…」と思われるかもですが、【留め具と低温調理器】がカンタンに取りはずせるものを選べば、まったく問題なしです。
例えばAnovaやBONIQでは、留め具と低温調理本体をカンタンに取り外すことができます。
家庭用なら800Wあれば十分です
一般のご家庭なら、800Wもあれば十分だと思います。
たしかにワット数が大きいほど水温が早く上がるといわれますが、800Wでも「水温が上がるの、遅いなぁ」と思ったことはこれまでにありません。
そもそも家庭での使用なら大量の食材を一度に調理することは滅多にありませんから、そこまでのパワーは必要ない気はしています。
3P仕様のコンセントプラグに注意
海外の低温調理器では、日本のコンセントプラグに直接させません。
これについては「Anova」が有名で、アメリカで使われる3Pタイプのプラグを採用しています。
「直接させない」と聞くとビックリする方も多いかもしれませんが、数百円程度のアダプタがあれば簡単につなげます。
» 参考:SANWA SUPPLY TAP-AD3LT 3P→2P変換アダプタ
そこまで身構えなくても大丈夫です。
アプリ非対応でも問題なし
アプリに対応してなくとも、問題なしです。
僕がこれまで使ってきた低温調理器では、アプリから操作するよりも本体で直接操作した方が早いことがほとんどでした。
逆に、外出先から低温調理器を操作したい方はアプリが必須。
この場合は「Wi-Fi接続ができるか」「外出先からも操作できるか」を確認しておくと良いでしょう。
低温調理器のアプリはメーカーごとに完成度のバラツキがあるので、購入前にアプリをダウンロードして操作性のテストするのがおすすめです。
アプリは無料でダウンロードできるのがほとんどですから、低温調理器を買う前にテストするのがおすすめです。
基本的には、上級者向けの機能と思って良いと思います。
僕が実際に使ったことのある低温調理器

まずは、僕が実機を手にしたことのある低温調理器をご紹介します。
実体験を踏まえて、よかった点・悪かった点を率直にお伝えします。
AnovaPrecision Cooker (旧型)【廃盤】

ひと世代前のAnovaで、僕はこれを2年ほど使っており大満足。
出力は、低温調理器としては標準的な800Wです。
タッチパネルの反応も良く、青く光っているローラーを回せば設定温度を一気に上げ下げできるので操作性は抜群。
アプリも、洗練されています。
ただし、基本的にすべて英語表記で、コンセントプラグが3P形式です。
とはいえ、説明書は簡単な英語ばかりですし、サポートの評判も上々。
今ではGoogle翻訳などのサービスもありますから、トラブルが起こったとしても「なんとかなるかな?」と思い購入に踏み切りました。
結果として一度も不具合が起きることがなく使えており、サポートの不安については完全に杞憂に終わってます。
※ 廃盤のため、現在は入手不可になっています。
定格消費電力:800W 留め具 :ねじ式 保証 :2年間 サイズ :高さ325mm 重さ :1.2kg 対応水量 :65mm〜153mm 水量処理能力:7~8リットル/min 防水性能 :なし アプリ接続 :Bluetoothのみ 対応OS :iOS, Android
BONIQ

日本向けの低温調理器で、一番有名なのがBONIQではないでしょうか。
僕が使ったのは1週間ほどですが、使用感は大満足でした。
コンセントは日本向けの2P仕様で、説明書やサポートも日本語対応。
アプリ非対応という点のほかは、ほぼAnovaと同じ外観・仕様です。
タッチパネルの感度も良好で、設定温度を調整するホイールもとても操作しやすかった。まったく問題ありません。
800Wですが、加熱が遅いというようなことは感じませんでした。
Rentioを使えばBONIQの実機を家で試すことができます。
なお、最近は公式サイトではBONIQの在庫切れが続いているようです。
もし購入をお考えの方は、Amazonや楽天などから探すのが早そう。
» 参考:【Amazon】ミディアムレアのお肉が作れる BONIQ ボニーク
定格消費電力:800W 留め具 :ねじ式 保証 :1年間 サイズ :幅10×奥行11×高さ37cm 重さ :1.2kg 最大湯煎容量:15リットル 防水性能 :なし アプリ接続 :なし
BONIQ Pro

BONIQの上位機種、BONIQ Proは、あくまで業務用という印象を受けました。
使ってみると、タッチパネルに癖があり温度変更でややストレスを感じます。
アプリでも温度設定ができるのですが、BONIQ Pro本体の電源を落とすとアプリとのペアリングが切れてしまうので厄介。
家庭用として使うにはちょっとキビシイ印象を受けました。
おそらく、業務用として「同じ場所に固定して、電源プラグを挿しっぱなしにする」という状況を想定して作られているのだと思います。
また、タイマー時間を経過すると加熱が切れてしまう仕様もちょっと残念でした。
以上より、家庭で使う場合にはあまりおすすめできないかなぁという印象です。
定格消費電力:1200W 留め具 :クリップ式 保証 :1年間 サイズ :直径5.3×高さ31.5cm 重さ :0.98kg 最大湯煎容量:20リットル 防水性能 :IPX7 アプリ接続 :Wi-Fi 対応OS :iOS, Android
いま手に入る低温調理器をご紹介

上記以外で、いま手に入る低温調理器をまとめました。
レビュー等を見ると、あまりにも安いものは保証を受けられないなど問題もありそうなので、ある程度信頼できそうなものをピックアップしています。
Anova Nano

Anovaの廉価版モデルです。
本体サイズが旧モデルよりも小さくなり、かなりスリムになりました。
画像を見る限り、留め具と低温調理器の取り外しができなさそうです。
そうだとすると、コンテナの掃除の時に少し不便を感じるかもしれません。
Amazonでは売っていないので、楽天市場などから買うことになります。
なお輸入に抵抗がない方は、「Anova公式HP」からだと安く購入できます。
定格消費電力:750W 留め具 :ねじ式 保証 :2年間 サイズ :高さ32.5cm 重さ :0.7kg 対応水量 :6.5〜15.3cm 水量処理能力:8リットル/分 防水性能 :IPX7 アプリ接続 :WiFi 802.11 b/g/n 2.4 GHz 対応OS :iOS, Android
Anova Precision Cooker

Anovaの中位モデルで、意外にもサイズはNanoと同じです。
Nanoとの主な違いとしては、定格消費電力が1000Wにアップしました。
よりパワフルな動きを見せてくれそうですね。
こちらもAmazonには出品されていないので、楽天などから注文することとなります。
» 楽天で「Anova Precision Cooker」を探す
Nanoと同様、「Anova公式HP」から輸入扱いで安く買えます。
定格消費電力:1000W 留め具 :ねじ式 保証 :2年間 サイズ :高さ32.5cm 重さ :0.7kg 対応水量 :6.5〜15.3cm 水量処理能力:8リットル/分 防水性能 :IPX7 アプリ接続 :WiFi 802.11 b/g/n 2.4 GHz 対応OS :iOS, Android
BONIQ 2.0 [2021年2月下旬発売予定]

BONIQの新型で、発売は2021年2月下旬を予定しています。
外観はBONIQ Proとほぼ同じで、出力は1000W、本体の素材がアルミではなく樹脂製に変更され、価格が押さえられています。(定価20,000円)
スリムでスタイリッシュな外観で、タッチパネルなどの操作性が改善されていれば「買い」かもしれません。
サイズはBONIQ Proより、少しだけ変更になっているようです。
定格消費電力:1000W 留め具 :クリップ式 保証 :1年間 サイズ :31×5×10cm 重さ :1kg 対応水量 :5〜15リットル 防水性能 :IPX7 アプリ接続 :Wi-Fi 対応OS :iOS, Android
富士商 Felio 低温調理器 [1万円未満]

こちらは、川上文代さんの低温調理レシピ本『真空低温調理のレシピ』で紹介されていた低温調理器です。
1万円以下で探している方は、選択肢の一つに入ってくる低温調理器だと思います。
防水機能やアプリこそありませんが、「そこまで高価な低温調理器は必要ない」という方には魅力的な仕様だと感じました。
定格消費電力:1000W 留め具 :クリップ式 保証 :1年間 サイズ :37×16×8cm 重さ :1.27kg 対応水量 :不明 防水性能 :なし アプリ接続 :なし
アイリスオーヤマ LTC-01[1万円未満]

日本のメーカー、アイリスオーヤマの低温調理器です。
出力は1000W・防水対応など、低温調理器に必要な最低限の性能は満たしており、保証は1年間付帯しています。
スペックを比べると、本体サイズがやや大きい・重そうですが、それが気にならなければ選択肢の一つになってくると思います。
» 参考:アイリスオーヤマ 低温調理器 レシピブック付き ブラック LTC-01
定格消費電力:1000W 留め具 :クリップ式 保証 :1年間 サイズ :幅90×奥行130×高さ400mm 重さ :1.4kg 対応水量 :?mm 水量処理能力:15リットルまで 防水性能 :IPX7 アプリ接続 :なし
石崎電機製作所 SURE(TC-900)

石崎電機製作所のSURE(シュア)です。
今回紹介した中ではやや高めのお値段ですが、飲食店などのプロの現場でも使われているそうです。
特徴的なのが、水の攪拌方法がポンプ式であるということです。これにより、コンテナ内に水流が発生してムラなく均一に加熱できるということです。
定格消費電力:840W 留め具 :ねじ式 保証期間 :記載なし サイズ :幅8.5×奥行16.5×高さ27cm 重さ :1.53kg 水量処理能力:20リットルまで 防水性能 :IPX7 アプリ接続 :なし
Kai House The Sousvide Machine

こちらも日本のメーカー、貝印の低温調理器です。
低温調理器に真空パック器が付属している珍しい仕様で、日本のメーカーらしい綺麗なデザインです。
ただし本体の値段が高いことと、真空パックの袋がやや高めのようなので、初期費用・ランニングコストはやや高めになると思います。
» 参考:Kai House The Sousvide Machine 低温調理器 000DK5129
定格消費電力:1000W 留め具 :クリップ式 保証 :1年間 サイズ :幅19×長さ7.7×高さ31cm 重さ :3.92kg 防水性能 :なし アプリ接続 :なし
低温調理器の選び方まとめ

低温調理器を選ぶときは、「きちんとメーカー保証が受けられそうか?」という点に加えて、次のポイントをチェックしましょう。
- 留め具はねじ式が安定する
- ワット数は800Wでも十分
- コンセントプラグは2Pがラクだが3Pでもアダプタをつけるだけ
- アプリは非対応でもOK
再掲になりますが、本記事でご紹介した低温調理器をまとめます。
- AnovaPrecision Cooker bluetooth【廃盤】
- BONIQ
- BONIQ Pro → 家庭用としてはちょっと微妙かも
- Anova Nano
- AnovaPrecision Cooker
- 富士商 Felio 低温調理器
- アイリスオーヤマ 低温調理器 LTC-01
- 石崎電機製作所 SURE(TC-900)
- Kai House The Sousvide Machine
今回は比較的信頼できそうなものに絞って紹介したのですが、予算的にキビシイ方はAmazonで売られているもう少し安いものを探しても良いと思います。
なお、安いものの中には「設定温度より水温が低くなってしまう」という場合もあるようなので、別記事で紹介
したようなデジタル式の温度計があると安心だと思います。