- 低温調理のレシピに不安がある
- レシピのバリエーションを広げたい
- 低温調理に関係する資料も知りたい
このような方に向けて書きました。
低温調理で気になることといえば、食中毒などのリスクです。
正しい知識を得るためにも、多くの方の目が入っている書籍を参考にすることは、一定の価値があります。
本記事では、低温調理のレシピ本や、関連する国などの公表資料などをまとめました。
低温調理に関する本と資料【レシピ編】

まずは低温調理のレシピ本からご紹介していきます。
『真空低温調理のレシピ』

初めての低温調理本としては、最適な一冊。
翻訳本によくある「これってどこで買うの?」と思うようなマニアックな食材がほとんどありません。
収録されているレシピ数は適度なボリュームで、次の通りです。
ジャンル | 牛肉 | 豚肉 | 鶏肉 | たまご | 魚介 | 野菜など |
---|---|---|---|---|---|---|
レシピ数 | 8 | 7 | 10 | 3 | 11 | 14 |
冒頭では低温調理の基礎知識もサクッと解説されており、低温調理初心者の方にも参考になります。
著者の川上さんはプロ料理人の育成などをされている方だそうです。
『真空低温調理のレシピストック編』

低温調理の保存(ストック)に特化したレシピ本です。
低温調理の冷凍には、次のようなメリットがあります。
- 時間があるときに作り置きできる
- 食べるときは、ポリ袋をそのまま湯煎
- 必要な分だけ取り出し、残りはまた保存できる
レシピは低温調理の設定温度ごとに分かれています。
温度 | 55℃ | 66℃ | 77℃ | 88℃ | 44℃ | デザート |
---|---|---|---|---|---|---|
レシピ数 | 12 | 36 | 11 | 11 | 7 | 11 |
ベースとなるレシピに加えて、アレンジレシピという形で紹介されています。
「低温調理したものを保存して、作り置きしたい」という方はざっと読んでおくと参考になります。
『家庭の低温調理』

写真がとにかく綺麗で、写真集のようなレシピ本です。
かなり分厚い本で、収録レシピ数はなんと99種類。
温度 | たまご | 魚介 | 鶏肉 | 牛など | 野菜 | デザート | 抽出液 | 常備品 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
レシピ数 | 8 | 9 | 14 | 17 | 13 | 14 | 16 | 8 |
翻訳本なので見慣れない食材がたまに出てきますが、調理のなんとなくのニュアンスを掴むには良いテキストかと思います。
冒頭には低温調理の基礎知識が詳しく書かれており、これからガッツリ低温調理を始めたいという方にも有益な本になるはず。
著者は家庭用低温調理器を開発された方で、開発までのエピソードも楽しめました。
» 参考:『家庭の低温調理(原題:Sous Vide at Home)』
「BONIQ公式レシピ」

低温調理器メーカー、BONIQの公式レシピサイトです。
かなり多くのレシピが紹介されており、大抵のレシピはヒットするはず。
書籍ではありませんが、「メーカー公式」という点で信頼度は高いと思われます。
低温調理に関する本と資料【理論編】

低温調理にあたって参考になりそうな資料をまとめました。
重要だと思われる箇所は箇条書きで抜粋したので、参考にしてみてください。
『Cooking for Geeks 第2版 ―料理の科学と実践レシピ』

料理に必要な科学的な知識が詰まった良書です。
全ページが低温調理について書かれているわけではなく、P.339〜359までが低温調理のセクションになっています。
食材ごとの温度設定・調理時間についても書かれていますが、やや読みづらいです。
副題に「実践レシピ」とありますが、低温調理のレシピはほとんどないと思った方が良いと思います。
» 参考:『Cooking for Geeks 第2版 ―料理の科学と実践レシピ』
DouglasBaldwin.com

『Cooking for Geeks』にも登場する、ダグラス・ボールドウェインさんのページです。
低温調理の注意点などから始まり、「魚」「鶏肉」「牛肉」「豚肉」の調理時間などほぼ全ての食材の調理方法について解説がされています。
僕の場合は「お肉の温度・調理時間」の設定の目安に、よく参照しているサイトです。
» 参考:「DouglasBaldwin.com」Sous Vide Cooking
BONIQ|低温調理 加熱時間基準表
低温調理器メーカーBONIQが、お肉の厚みごとに調理温度と時間を公表しています。
こちらの「加熱時間基準表」では日本語で書かれている分、ダグラス・ボールドウィンさんのサイトよりもわかりやすいと思います。
厚生労働省の「加熱食肉製品」の基準
BONIQの「豚肉の調理基準」として参考資料となっているのがこちらです。
- 衛生管理を徹底する
- 中心温度が 35°〜52°の時間を170 分以内とする
- 加熱食肉製品は、63°で30分間加熱する方法(これと同等以上の方法)で低温殺菌する
厚生労働省「大量調理施設衛生管理マニュアル」
衛生管理でよく参照されるのが、「大量調理施設衛生管理マニュアル」です。
このマニュアルは、同一メニューを1回300食以上又は1日750食以上を提供する調理施設用に作られたもので、かなり細かく解説がされています。
ちなみに、このマニュアルで引用されている「HACCP(ハサップ)」とは食中毒等を除去・低減し、安全性を確保しようという衛生管理の手法のことで、家庭の調理においても参考になります。
食品冷凍の理論
『厚生省生活衛生局乳肉衛生課監修:HACCP 衛生管理計画の作成と実践データ編』から引用されている、食中毒細菌の型別と増殖条件が参考になります。
豚の食肉の基準に関するQ&A
豚肉の調理に参考になる情報がQ&A形式でまとめられています。
- 豚の血液やレバー等からは、E型肝炎(HEV)ウイルス、食中毒菌、寄生虫が検出されている
- 豚の食肉の中心温度を 63°Cで 30 分間以上加熱するか、これと同等以上の殺菌効果がある方法で加熱殺菌すること
- 75℃なら1分以上の加熱でもOK(目安は豚肉の中心部が白っぽく変化すること)
- SPF豚であっても、完全に無菌ではないので加熱すべき
- 食中毒菌の汚染を防止するため、加熱前後で調理器具は使い分ける
食肉の加熱条件に関するQ&A
加熱温度・時間は、厚生労働省の「食肉の加熱条件に関するQ&A」が参考になります。
結論として、お肉の中心部を「75度で1分間加熱すること」を求めています。
ただし、これより低い温度であっても同等の加熱条件であれば良いとされており、その温度と時間の組み合わせは以下の通りです。
温度 | 時間 |
---|---|
70°C | 3 分 |
69°C | 4 分 |
68°C | 5 分 |
67°C | 8 分 |
66°C | 11 分 |
65°C | 15 分 |
低温調理としては65℃だと「アクチンが変性してしまうギリギリの温度」なので少し高めな気はしますが、一つの目安として参考になります。
今回紹介したレシピ本、資料のまとめ

今回ご紹介した書籍と資料をまとめます。
- 『真空低温調理のレシピ』
- 『真空低温調理のレシピストック編』
- 『家庭の低温調理(原題:Sous Vide at Home)』
- 「BONIQ公式レシピ」サイト
- 『Cooking for Geeks 第2版 ―料理の科学と実践レシピ』
- 「DouglasBaldwin.com」Sous Vide Cooking
- 「BONIQ|低温調理 加熱時間基準表」
- 「厚生労働省 加熱食品製品」の基準
- 「大量調理施設衛生管理マニュアル」
- 『食品冷凍の理論』
- 「豚の食肉の基準に関するQ&A」
- 「食肉の加熱条件に関するQ&A」
少し多くなりましたが、書籍の割合は少なめです。
気になったものから、原典を参照していただければと思います。